解剖生理学とヨーガの構造機能論

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ヨガは、近年、医療・福祉の現場だけではなく、教育・企業など…幅広い分野に広まってきています。

ストレス性の疾患・生活習慣病・介護予防、こころの病にもヨガが有効とする研究報告が年々増えており、ヨガは統合医療としても注目されています。

ちほ

ヨガに関するエビデンスが増えてきてます!

わたしがお伝えしているヨーガ療法(ヨーガ・セラピー)は、伝統的なヨーガをもとに生まれた健康増進法です。

ヨーガ療法は、クライアントさんにとって何が必要なのかを考え、有害事象を防ぎつつ、健康促進を実現するために指導内容を考えておこなっていきます。

その時に、とっても大切になってくるのが、人間構造論・人間機能論になります。

人間構造論・人間機能論を使って、クライアントさんをアセスメントした上で、ヨーガの指導を行っていきます。

読者さん

人間構造論・人間機能論?

ちほ

現代で言う解剖学・生理学のようなものです。

読者さん

アセスメント?

ちほ

医療の現場でも、アセスメントは行われています。

わたしは看護師でもあるのですが、看護の現場では、患者さんにケアを行っていく上で、ゴードンの11の機能的健康パターンヘンダーソンの14の基本的欲求などのアセスメントツールを使っています。

目次

解剖生理学と人間構造論・人間機能論

現代医学では、身体の構造と機能を理解し、病気・疾患の診断ていくために、解剖学や生理学を学びます。

  • 肉体の構造論 ⇨ 解剖学
  • 肉体機能論  ⇨ 生理学

一方、ヨーガにおいては、解剖学・生理学の変わりとなる、人間構造論・人間機能論というものを学びます。

ヨーガの学びを深めていくためには、これらの考え方は、とっても大切なものなのです。

ちほ

言葉を聞くと、とっても堅苦しい感じがしますね〜

読者さん

難しそうです…

私は看護学生時代、解剖学・生理学など学んできましたが、その当時は、まったく興味が持てず、ちんぷんかんぷんでした。

教科書を開くと眠くなり、全然、勉強が進まなかった苦い経験があります。

そんなわたしも・・・
実際に看護師として患者さんと関わる上で、解剖生理学の知識はとっても重要で欠かせないものだと気づき、必然的に学んでいくことになります。

そうこうしているうちに、学生時代はとっても嫌いでしたが、今ではとっても興味のある好きな分野になっています。

人間構造論とは!?

基本的な人間の捉え方である人間構造論には『人間五蔵説』『人間馬車説』があります。

人間五蔵説とは!?

『古ウパニシャド聖典』(特にタイティリーヤ・ウパニシャド聖典)という古典書に記載された人間の構造論がパンチャ・コーシャと呼ばれる人間五蔵説です。

人間の身体は、5つ(パンチャ/panca)の鞘(コーシャ/kosa)から成り立っているという考え方になります。

外側が最も粗雑な次元で、内側へいく程に精妙で繊細になっていき、その最深部には五蔵を動かす原動力である真我(アートマン)が存在すると言われています。

聞きなれない言葉が多く???と思う方も多いかもしれませんね。

外側から順に

  • 食物から造られて機能している食物鞘(肉体)
  • 呼吸作用を持つ生気鞘(自律神経機能)
  • 知覚と運動作用に関係する意思鞘(感情)
  • 認知・判断等に関与する理智鞘
  • 記憶の倉庫である歓喜鞘

変化し続けるココロやカラダは真の自分ではないという考えです。

食物鞘(アンナマヤ・コーシャ)

もっとも粗雑な物質次元の鞘。肉体。

食物によって維持されている人間存在の基礎となる部分で、食べているものの影響が多大です。

歓喜・理智・意志・生気の各鞘の乱れがこの食物鞘まで達すると、自律神経系・内分泌系・免疫系が乱れ、弱い臓器や組織が侵され症状として表面化すると言われています。

食物鞘を整えるには、トリドーシャ(Vata・Pitta・Kapha)のバランスをとり維持することが大切です。

ちほ

トリドーシャについては別の機会で、お伝えしますね。

生気鞘(プラーナマヤ・コーシャ)

生気(プラーナ)からなる鞘。
生気とはエネルギー、気、呼吸。

新鮮なプラーナを取り入れ、流れを整えることで、生命力(オージャス)が高まります。

生気鞘は、食物鞘(肉体)と意思鞘(心)の間にあるため、生気鞘の状態は、 “ 身体と心 ” の両方に影響を与えます。

ちほ

生気鞘ココロとカラダの架け橋とも言われています。

「呼吸」は心身の状態を映し出す鏡であり、「呼吸」を変えることで、心身の状態も変えることができるのです。

意思鞘(マノーマヤ・コーシャ)

感情や心に関する鞘。

  • 5つの知覚器官(目・耳・鼻・舌・皮膚) 
  • 5つの運動期間(手・足・口・生殖器官・排泄器官)

これらの10の感覚器官から成り立っており、10の感覚器官を通じて意思や感情が発生します。

これらの感覚器官の働きが制御されず、暴走すると心が乱れます。

ちほ

人間馬車説における手綱になります。

わたしたちは

感覚器官を満たすこと = 幸せ

と誤認知して、体調を崩してしまうのです。

ヨーガは、外側に向いた10種の感覚器官の働きを内側に引き戻すことができます。

理智鞘(ヴィジュニャーナマヤ・コーシャ)

知性や感性の働きをする心理器官。
10種の感覚器官を介して送られてくる情報を認知して判断し、行動司令をだす心理器官。

判断するには、基準となる『ものさし』が必要になります。

ちほ

ものさし=ヨガの智慧です♪

歓喜鞘(アーナンダマヤ・コーシャ)

最も精妙な鞘。
記憶に関する鞘。
自己存在の基盤。歓喜・力・智慧・自由・つながり。

人間の本質は、純粋で幸福感に満ちており、この歓喜鞘が、宇宙・生命全体の根源とつながる真我を包んでいるといわれています。

歓喜鞘のすぐ内奥には、純粋意識と生命原理と言われる “ アートマン ” が内在しています。

人間馬車説とは!?

『人間馬車説』は、人間五蔵説と同様にカタ・ウパニシャッドに記されており、10頭たての馬車で例えられてます。

 10頭の馬とは

  • 5つの知覚器官(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)
  • 5つの運動器官(手/授受器官・足/移動器官・生殖器・排泄器官・発語器官)

これらの10個の器官をさしています。

  • 手綱は馬たちと御者との間での情報の授受を伝達する心理器官である意思(マナス)
  • 知性や感性の判断を下す心理器官が御者(ブッディー/理智)
  • 御者の後ろには我執(がしゅう/アハムカーラ)心素(しんそ/チッタ)という2つの心理器官が控えてます。

御者(理智)の下すいろいろな判断に、我執(アハムカーラ)が ” 自分の/自分が “ という意識をくっつけます。

心素(チッタ)はすべての記憶(心理的残存印象)を蓄え続ける記憶袋であり、潜在意識もトラウマも、すべてこの記憶袋に蓄えられています。

そして車体は「肉体」であり、その中に「真我」つまりは「神」がいるという構造になっています。

5運動器官、5知覚器官を理智と強い意志でコントロールします。

10頭の馬(諸感覚器官)に対して、御者である理智/ブッティを上手に働かせれば、人間は生活習慣病にも罹らずに、人生を上手に生き通すことができると言われています。

真我(アートマン)を車中の主人と知れ。身体(シャリーラ)は車輌、理智(ブッディ)は御者、意思(マナス)は手綱と知れ。諸感覚器官は馬たちであり、感覚器官の対象物が道である。

『カタ・ウパニッシャッド』第3章3~4節

記憶とは、かつて経験した対象を心素(チッタ)の内にとどめることである。

『ヨーガ・スートラ』第1章11節

人間機能論とは?

人間心理の機能を明らかにした『ウパニシャッド聖典』『ヨーガ・スートラ』等の聖典群があります。

ヨーガ・スートラとは、聖者パタンジャリによって紀元前2世紀ころに記述され完成されたと言われる経典です。

ちほ

スートラは糸を意味します。

ヨーガ哲学の基本的な教えで『三昧部門』『実習部門』『成就部門』『絶対部門』の4部門から構成されています。

『Yogas Chitta Vritti Nirodhah』
ヨーガとは心素の働きを止滅することである。

(ヨーガ・スートラ第1章第2節)

聖典『ヨーガ・スートラ』の著者であるパタンジャリ大師は「ヨーガとは心素(チッタ・記憶の倉庫)までの働きを止滅させることであり、心素の働きが止滅すれば “ 観る者た 真我 ” は、その本性にとどまる」と説いています。

パタンジャリ大師は、心素(チッタ/記憶袋)までの心理作用を視野に入れて、2,000年以上前から心理作用の重要性を説いていました。

解剖生理学とヨーガの構造機能論 まとめ

ヨーガ療法は、これらの人間構造論・人間機能論からなる『ヨーガ療法理論』に基づいて行われてます。

ヨーガ療法では、ヨーガ療法ダルシャナと言われるカウンセリングを行い、その方の心身の状態をアセスメントしたうえで、アーサナ・呼吸法・瞑想などを組み合わせたオーダーメイドのプログラムを作っていきます。

ちほ

人間構造論・人間機能論についてもっと知りたい方は、↓の本を読んでみてくださいね。

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この記事を書いた人

ちほのアバター ちほ ナース・ヨーガ療法士

札幌在住のアラフィフ主婦。
心地よいを大切に!セルフケアを身につけて人生楽しみましょう♪
ヨガとアーユルヴェーダの知恵をお伝えしています。

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